端部給電アンテナのコモンモード電流

上旬に製作したRF電流測定器具(RF電流計)を使い、端部給電アンテナ50MHz用デルタループと無線機を繋いだ同軸ケーブルの外被側に流れるコモンモード電流(RF電流)を測定した結果(上記写真の①、②が測定箇所)で終わる予定だったが、なんと端部給電アンテナの電流が高い事が判明したため、見よう見まねでコモンモードフィルタを作りにトライして、それを下げてみた。
参考にした資料は、HAM World誌の2024年7月号「クランプコアによるフロートバラン効果の考察」、CQ誌の2024年2月号「コモンモードフィルターの種類と測定方法」。

TDK製クランプフィルタ(パッチンコアと呼ぶことも) ZCAT3035-1330 5個を使い。
同軸ケーブルの長さ(2m)の都合から4個のクランプフィルタは5回巻き、残りの1個は3回巻きとした
同様のTDK製クランプフィルタ 4個を使い。3個のクランプフィルタは6回巻き、残りの1個は4回巻きとした。(CQ誌「コモンモードフィルタの種類と測定方法」に掲載されていた仕様に近い)
TDK製クランプフィルタ 4個をつないだ状態。又、同軸ケーブル切換機と無線機の間にも型番不明のパッチンコアを付けた。(①、②が測定箇所)

測定結果(TDK製クランプフィルタ ZCAT3035-1330 5個使い)

RF電流(mA)現状クランプフィルタ有
測定箇所121212
7MHz361.043.85.010.8-356.0-33.0
21MHz143.086.110.88.5-132.2-77.6
50MHz0.14.00.20.60.1-3.4

測定結果(TDK製クランプフィルタ ZCAT3035-1330 4個使い)

RF電流(mA)現状クランプフィルタ有
測定箇所121212
7MHz361.043.85.78.8-355.3-35.0
21MHz143.086.111.311.0-131.7-75.1
50MHz0.14.00.70.30.6-3.7

コモンモードフィルタ追加による効果は、RF電流計で数値化出来たので判断しやすく便利な道具で購入して良かった。クランプフィルタ4個使い、5個使い共にコモンモード電流はほぼ同じ値となり改善された。ただ、何mA以下が目安なのか? これは、HAM World誌の「クランプコアによるフロートバラン効果の考察」でバラン付きアンテナのコモンモード電流が50mAぐらい@7MHzだったので、それが目安かなと思った。

コモンモードフィルタの性能(クランプコア4個使い)
CQ誌「コモンモードフィルターの種類と測定方法」の記事にNanoVNAを使った測定方法が書かれていたので、それを参考に測定してみた。
結果は7 〜 50MHzまで-30dB以上となりコモンモードフィルタとして使えそう。

測定(NanoVNAを使う頻度が多くないため操作方法を忘れる。そのため、Mac(パソコン)にアプリを入れてNanoVNAとUSB-Cケーブルで繋ぎ、Mac(パソコン)のアプリからの方が操作しやすい。)赤のワニグチクリップを同軸コネクタ(同軸ケーブルの外被に相当するところ)に接続、黒のワニグチクリップはお互いを接続した。
グラフの横軸が周波数(500Kから100MHz)縦軸がGain(0〜-60dB)で上部が0dB、横軸と交差するところが-60dB

VSWRの変化
7MHZ
VSWR@共振周波数が1.059@7.45MHzから1.255@7.07MHzへ変化したが1.5以下で問題なし。ただ、現状の共振周波数をずらした状態のVSWRでも7-7.2MHz帯でSSBを主体に使うには良好な値だった。

現状(コモンモードフィルタ無し)の結果
コモンモードフィルタ装着時(4個使い)の結果

21MHz
VSWR@共振周波数が1.365@20.77MHzから1.568@20.83MHzへ少し変化した。このVSWRの上昇は、使用する周波数の範囲で1.5以下が無くなった。様子を見て、涼しくなったらアンテナの調整を行うかな。

現状(コモンモードフィルタ無し)の結果
コモンモードフィルタ装着時(4個使い)の結果

その他で気づいた事は、18 / 21 / 28MHz帯で受信時のノイズが少なくなったように感じた。後日、コモンモードフィルタはケースに入れて収まりを良くする予定として、次はAH-705とワイヤーアンテナの組合せで使うカウンターポイズの調整かな。

コメントをどうぞ(*は必須です)

 





コメント