RF電流測定器具(RF電流計)の製作

以前、AH-705(ATU)とワイヤーアンテナの組合せで運用した時に電波があまり飛ばない経験をしてからそのままにしていた。その後、CQ誌、HAMworldの特集記事を読んだりと情報を集めたら、ATU(屋外用オート・アンテナ・チューナー)とワイヤーアンテナで電波をアンテナから効率よく放射するコツがあることを知る。まずはこのRF電流計があると調整時に便利なようなので情報を探したら、ICOMの記事No.37 デジタルRF電流計のページを見つけ、それを参考に見よう見まねの製作が始まった。キットで販売している(有)大進無線「チップ部品ディジタルRF電流計Ver.3 パーツセット」を購入した。但し、購入したキットのバージョンが進み、抵抗・ダイオード・コンデンサー部品はチップ化されたので、ICOMの記事No.37 デジタルRF電流計のページの部品とは違いがあった。

測定のため同軸ケーブル長の半分ぐらいのところで保護被覆と外部導体にスリットを入れ、絶縁体の部分を露出させた。(白い部分)保護被覆と外部導体の処理は絶縁テープで巻いて、他の導通部品と接触しないようにした

作り方は上記ICOM記事のページとKITに付属された説明書によるとして、そのページを参考に測定を試みた。準備する物は、同軸ケーブル・ダミー(緑色基板の物)・無線機とダミーに接続するコネクター・テスター・無線機。

測定する時は同軸ケーブルの絶縁体(白い部分)をクランプした
洗濯バサミと同様に摘むと、洗濯バサミの先端が開くと分割リングコア前側も同様に開くため、同軸ケーブルを分割リングコアの中に通すことができる構造
左上にRF電流計のクランプ部。そこからの出力をテスター(右側)で電圧を測定している。
無線機(中央)の出力は5W設定、周波数は7.114MHz、測定結果は3.148Vを示した

取説の性能概要
・高周波電流 = 1/10 表示電圧(上記の3.148Vは0.3148Aになる)
・測定周波数範囲:1.8 〜 54MHz
・測定電流範囲 :10mA 〜 300mA
・測定誤差   :±20%程

測定内容(アマチュア無線の周波数帯)
・周波数  :3.5 / 7 / 18 / 21 / 28 / 50MHz
・無線機出力:1W / 5W
・同軸ケーブル・ダミーのインピーダンス(抵抗):50Ω

測定結果
・電力(W):= 電流 X 電流 X 抵抗(オームの法則)で算出
・5Wで測定した電流は測定範囲を僅かに越えたが、各周波数で安定していた
・無線機の出力を基準に電力の算出を比較した場合で差が大きいのは
 1W時:21MHzで+12.2%
 5W時:50MHzで-13.3%
(下記表のリグは無線機と同じ意味)

周波数リグ出力 1Wリグ出力 5W
(MHz)電圧(V)電流(A)電力(W)電圧(V)電流(A)電力(W)
3.51.4690.14691.07903.1500.31504.9613
71.4800.14801.09523.1670.31675.0149
181.4830.14831.09963.160
(SWR:1.1)
0.31604.9928
211.4980.14981.12203.187
(SWR:1.2)
0.31875.0785
281.450
(SWR:1.2)
0.14501.05133.109
(SWR:1.3)
0.31094.8329
501.348
(SWR:1.5)
0.13800.95222.945
(SWR:1.7)
0.29454.3365

測定誤差をどう捉えるのか?別の校正がとれた測定機器で測定した電流値と比較するの?と疑問もあるが、素人考えで無線機の出力を基準とし、測定値から算出した電力と比較した。結果は、測定誤差の範囲におさまった。これで、AH-705とワイヤーアンテナ+カウターポイズでの状況を確認しながら調整が出来そう。又、使用中のアンテナ(ダイポール、端部給電アンテナ、デルタループなど)や「ヘッドセットをIC-705に接続のインターフェイス」などのコモンモード電流の測定も出来そう。これらの確認結果はおいおい忘れないように記す予定。

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